
競走馬の世界では6歳牝馬も、春が過ぎて夏になると、引退という二文字がチラつき始めます。牝馬は3、4歳時が最盛期で、徐々に下降線を辿るのが、一般的な常とされています。
とくに条件止まりでパッとしなかった年増の牝馬が、そろそろ繁殖にという声が出てくるのは当然のことです。
おそらく6歳牝馬マコトプリジャールにとっても、同じような境遇にあったと推測されます。それが春の福島、
福島牝馬Sでブービーの15番人気ながら、1番人気のシャルールを破って初
重賞勝ち。ここから
厩舎側の思いが変わったと思われます。もう1年やってみようか!
とはいえ、400kのあまりにも小柄な馬体。
バリバリのオープン馬を相手にしては、やや心もとない印象はありました。ところがマコトプリジャール自身、まわりの不安を一掃させる大人の成長を見せていたのです。
そして、今回の札幌開幕週を飾る「
クイーンS」に登場して来ました。一昨年、彼女は今回と同じ
クイーンSに挑戦。キャット
フィーユの前に6着(14頭)に敗退。やはり、パワーを要求される洋芝は向かないのか、ということで昨年は小倉に遠征。
今年は
福島牝馬Sという
重賞を手に入れたということもあって、また
四位騎手の助言もあり、再び札幌の地、洋芝の
クイーンSに挑戦となったのです。人気と無縁のマコトプリジャールは、この日も9番人気。
「内枠を引いたので、このような(前で展開)競馬をしようと考えていました」と、騎乗した
四位騎手。
スタートと同時に飛び出したマコトプリジャール。サッと先頭に立ちます。外からリラヴァティが接近。一気に先頭に立ちます。1番人気のシャルールが2番手。控えたマコトプリジャールはその後のイン。外には2番人気の
ウインプリメーラ。

中団の外には出遅れたロッテンマイヤー。同じような位置にデルメディカラカラ。後方にはナムラアンと昨年の優勝馬
メイショウスザンナが追走。
この形で流れはゆったりの坦々としたペース。半マイルが49秒1で、5ハロン通過は61秒5。明らかに超スローペース。
4コーナーをまわると2番手のシャルールが、リラヴァティを捉えて先頭に立ちます。これに
ウインプリメーラと、外からロッテンマイヤーが接近。

シャルールが勢いからそのまま押し切るかに見えましたが、好位インで辛抱していたマコトプリジャールが、ピッチ走法で弾けるように全身を駆使して肉薄。内から外に進路を取ってシャルールに並びかけて、激しい叩き合いからゴール寸前でシャルールを競り落としたのです。ラスト33秒8、洋芝で素晴らしい瞬発力を見せました。


重賞2連勝でステージがワンランク上がりましたが、これからは牡馬相手にどこまでやれるのか、あるいは
重賞2勝が芝1800mだったので、2000m以上、あるいはマイル戦をどう克服できるのか、課題を克服がカギです。
それにしても、6歳牝馬、年齢を重ねた女性は、どちらの世界もここ一番は強いものですね。
