
まさかまさかの事態でした。本年度スプリント路線の頂上決戦!ともいうべきGI「
スプリンターズS」が、秋晴れの中山競馬場で行われました。
優勝したのは1番人気に支持された
ストレイトガール。直前の
セントウルSは外から一息伸びを欠いて4着。とはいえ勝ち馬と同タイムでゴールイン。1度使われたここは巻き返して来る!という見方が、ファンの共通した思いだったようです。
2番人気がスプリント
重賞2連勝中のベルカント。おそらく、このベルカントを目標と、
ストレイトガール陣営は考えていたと思われます。
また久しぶりのミッキーアイルも
高松宮記念と同様に、前に出て
ハクサンムーン、アクティブミノルの直後で展開しよう、という思いが
浜中騎手の脳裏にはあったはずです。
「やはり、この馬は逃げたほうがいい。持ち味がフルに生きる。だから今回はどうしても行かせる」
ハクサンムーンのサイドは強く断言。
ハクサンムーンの逃げ宣言にアクティブミノルの
藤岡康騎手は、張り合う勇気もなく、それじゃ2番手でもいい。
ハクサンムーンの直後で脚を残してやろう、そういう作戦で臨んだようです。
スタートと同時にポンと好発を決めたミッキーアイル。主導権を主張することはなく、アクティブミノルが楽に主導権。内からベルカント。そこを二の足がつかなかった
ハクサンムーンが、ここはどうしても行きたいとばかりに、アクティブミノルの内からシゴいてシゴいて先頭。
予定通りサッと2番手に控えたアクティブミノル。そしてミッキーアイルを離し気味にスイスイと
ハクサンムーンは行きます。
これについって行ってはまずい、とばかりに先行各馬は
ハクサンムーンを度外視。そのポジションで脚を温存。ベルカントはガッチリと好位の内。外にはかかり気味のミッキーアイル。ベルカントの背後に内々を走る
サクラゴスペル。外をいつもより早めに
レッドオーヴァル。その後ろには
コパノリチャード。中団内々を香港の刺客リッチ
タペストリー。その左斜め後ろに
ストレイトガール。その外側を
ウリウリが虎視眈眈。その真後ろを
ウキヨノカゼが直線勝負に賭けます。
さて、注目の前半の3ハロンを34秒1。まさかまさかのペース。直前に行われた1000万の
勝浦特別の33秒9よりも遅いペース。前日の2歳未勝利クラスが、なんと33秒8。GI
スプリンターズSが未勝利クラスより遅い事件的ペースです。

この過去10年で一番遅いペースで進み、4コーナーではその手応えの良さから先行馬、あるいはその直後にいる馬で決着!と思われました。
直線内で頑張る
ハクサンムーン。その2番手から並びかけたアクティブミノル。外にはミッキーアイル。4番手内をベルカント。その直後には抜群の手応えの
サクラゴスペル。その後ろには
ストレイトガールが肉薄。後方から外をラストスパートに賭ける
ウリウリ。それを追うように
ウキヨノカゼ進出。

ラスト200mで
ハクサンムーンを捉えたアクティブミノル。それをミッキーアイルが捉えて先頭に立ちかけます。待っていたかのように
サクラゴスペルが
バリバリとエンジン全開。ベルカントはここで脱落。
サクラゴスペルの後ろから
ストレイトガールが猛然とスパート。これには外の
ウリウリもついて行けません。大外から
ウキヨノカゼが強烈な末脚で肉薄。ゴール前のもの凄い叩き合い。
結局、ゴール寸前で先頭に立った
ストレイトガールが見事に優勝。今年は
ヴィクトリアマイルに続きGI2勝目。2着は最高のポジションで、ロスなくまわって来た
サクラゴスペル。大外一気に追い込みをかけた
ウキヨノカゼが届かず3着。ミッキーアイル、
ウリウリが際どい4、5着。直線失速したベルカントは13着。急坂の中山は3番人気だった
朝日杯FSでも凡退。どうも中山は鬼門のようです。


それにしても、勝ち時計が1分8秒1。直前の
勝浦特別のキャレモンショコラが1分8秒0。
スピード決着を楽しみにしていたファンにとっては、あまりにも平凡なタイム決着となってしまいました。

