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13番人気のスノードラゴンがGIを制した理由とは・・!?

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 12年ぶりに新潟競馬場で行われたGI「スプリンターズS」は、多くのファンが予期せぬ結末となったのです。

 なんと13番人気のスノードラゴンが直線外から強襲。半馬身抜け出して優勝。スノードラゴンはJRA初重賞勝ちが、今回のGI制覇となりました。騎乗した大野騎手もGI初制覇。

 そもそも13番人気クラスの馬がGIを勝てるものだろうか!?と、疑問をお持ちの方もいると思われますが、今年は2月のフェブラリーSで16番人気と最低人気だったコパノリッキーが快勝。2着とはいえ安田記念のグランプリボスもブービーの16番人気。今年はそんな年なのかも知れません。

 今年の「スプリンターズS」は、過去の同レースと様相が一変していました。まず、右回りの中山→左回りの新潟。しかも、3連続開催とあって馬場の傷みは激しく、加えて新潟独特の夏日が例年よりも少なく、雨が多かったような気がします。

 新潟は土曜日も雨に見舞われました。そしてスプリンターズSのときも小雨まじりの生憎の天気。こうなると、持ちタイム不足の馬でも台頭してくるケースなのです。さらに、連続開催で馬場の内側がボコボコ状態。

 私はメインのひとつ前10レース飛翼特別(直線芝1000m)で、シャトルアップを本命に推しました。17番枠です。多頭数の1000mの競馬は、連続3開催目の最終日ともなると、内枠、外枠の有利不利は歴然。17番を引き当てたシャトルアップには戸崎騎手ということもあって、相手探しという印象でいました。2番人気の16番☆エイシンテキサス、4番人気で18番△ケイアイユニコーン。3連単は2万5340もついたのです。上位3頭はすべてピンク帽の8枠同士。

 従って今年のスプリンターズSは、1枠や2枠、3枠の馬は馬券の対象にはいないかも知れない、と考えるようになったのです。

 

 レースは好スタートを見せたハクサンムーンが先頭。ベルカントも好発馬で2番手。内からマジンプロスパー。あっと、互角のスタートを切ったコパノリチャードが、ガクンと大きく躓いて後方に置かれてしまいます。

 それならと言うことでもないのですが、間からしごいてダッシャーゴーゴーが割って出て来ます。鞍上は直前で北村宏騎手から乗り替わった勝浦騎手。

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 ハクサンムーンが2番手に引いて、3番手がベルカント。その後ろにマジンプロスパー。内からローブティサージュ、トーホウアマポーラ。その外にグランプリボスがいます。その直後に早めに動いているストレイトガール。セイコーライコウがその外。その後ろにレッドオーヴァル。背後の外目にスノードラゴン。内にコパノリチャードがいます。マヤノリュウジンとサンカルロが最後方。

 直線で外にうまく出せるか、この点が大きなカギでした。逃げたダッシャーゴーゴーに外から並びかけようとハクサンムーンが手応え十分で直線に入って来ました。その内側からベルカント。そしてハクサンムーンを目標にしていたグランプリボスが急接近。

 

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 そして内からベルカント、その間にハクサンムーン。その外にグランプリボスが激しい叩き合い。後続からは内に進路を取ったストレイトガール、グランプリボスの外からレッドオーヴァル。そして大外から一気に末脚を伸ばすスノードラゴンが強襲。

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 ハクサンムーンがいち早くギブアップ。一番外の白い馬体を大きく伸ばしてスノードラゴンが一気に抜き去って優勝。2着争いは4頭並んでゴールイン。

 結果はストレイトガールがアタマ差レッドオーヴァルを抑えて2着。頭差でグランプリボスが続き、その内にベルカントでした。

 勝ちタイムが1分8秒8。同じ新潟で行われた12年前のタイムが1分7秒7ですから1秒も遅いタイム。

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 馬場の巧拙、枠順の有利不利が最後で大きく左右した印象です。1番人気のハクサンムーンは13着。息の入らない展開で、またこの馬場状態では持ち前のスピードを生かせず。あるいは2走目の反動が出たような気もします。

 注目していたグランプリボスは安田記念以来で14K増の馬体。相手をハクサンムーンに絞っていた嫌いがあり、競馬がどうしても早め早めになった印象です。2着のストレイトガールは、力のいる馬場でも1200mであれば問題ないようです。マヤノリュウジンは馬場の外を回され、しかもこの馬場。良馬場向きでしょう。

 いずれにしても、スノードラゴンは時計を要する馬場は抜群にうまいです。不良馬場の春の高松宮記念でも2着に奮闘。左回りも良かったようです。そして大外18番もラッキーでした。

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会心の騎乗!さすがリーディング独走の戸崎Jに賞賛の嵐!!

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 マイネルラクリマという馬がいます。全5勝のうち直線坂のあるコースでは未勝利。過去4勝が福島と京都の芝で、函館のデビュー戦を勝ち上がった馬でした。

 昨年の七夕賞以来、勝ち星から遠ざかっていたのは、大崩れが少ない反面、勝ち味に遅いという欠点があったのです。

 その課題をどう克服するのか、そこにこの馬の大きなポイントがありました。そして、新潟で行われた「オールカマー」。内回り芝2200m。

 今回、依頼を受けたのがリーディング・ジョッキーのトップを独走する戸崎圭太騎手。マイネルラクリマの長所と欠点を踏まえた上で、ボコボコした馬場、内回りの2200mをどう乗るべきか、出した答えは先行2番手策でした。

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 強力な逃げ馬が見当たらず、4番枠を引いたカレンブラックヒルが逃げることは織り込み済み。従って、カレンブラックヒルの2番手を躊躇なくキープします。内からムスカテール、1番人気のサトノノブレスも正攻法。この中にはクランモンタナ(3番人気)もいます。好位にはラキシスが抜群の手応えで追走。中団にニューダイナスティ。後方にはフラガラッハとアロマティコ。フェイムゲームもいます。

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 前半の半マイルは47秒6、1000m通過が60秒5。カレンブラックヒルにとってスローには落とさず自分のペースで一人旅。カレンブラックヒルを本命に推したこともあり、私には“ヨシヨシ”と力の入る展開でした。

 2番手に付けた戸崎・マイネルラクリマ。4コーナーをカレンブラックヒルの直後でまわり、後続が一気に仕掛けて迫ってきます。それでも戸崎・マイネルラクリマは動きません。逃げるカレンブラックヒル。内からラキシスが迫って来ました。

 このとき戸崎騎手が後続と一緒になって仕掛けていたら、ゴール前で差し込まれた可能性があります。それでもあまり辛抱していると、勝ち味の遅さが出てしまう。

 戸崎騎手がとった判断は、ラスト100mからの追い出しでした。初めての2200mと休養明けで、さすがに苦しくなったカレンブラックヒルに並びかけて、抜け出すとそのままゴールに飛び込んだのです。

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 ポンポンと首のあたりを叩きながら、良くやった!とばかりマイネルラクリマを称える戸崎騎手。

 ゴール前内から流れ込んだラキシスが2着。マイネルラクリマと半馬身差でした。間を割って伸びたクリールカイザーが頭差で3着。同じく頭差で外から追い込んだフラガラッハが4着。ハナ差で5着アロマティコ。以下、フェイムゲーム、カレンブラックヒル。優勝したマイネルラクリマからカレンブラックヒルまで0秒2差という大激戦。

 それゆえ、勝ち味の遅いマイネルラクリマをトップでゴールインさせた戸崎騎手の頭脳プレーは見事!私も拍手を送りたい進境です。

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 狙ったカレンブラックヒルは自分の一番いい形を思い出したような印象で、これはこれで秋の戦線が楽しみです。