アベコーのハッピー競馬

　ダートの３歳チャンピオン決定戦「ユニコーンＳ」が、東京ダート１６００ｍで行われました。

　人気は日本ダービーをパスして臨んできた、というよりも確勝を期して出陣のアジアエクスプレス。１.３倍という圧倒的な人気に支持されました。

　それもそのはずで、東京ダート（１４００ｍ、１６００ｍ）で後続を大きく突き放し２戦２勝。桁違いのダートの適性を見せつけていたのです。

　しかも、朝日杯ＦＳでＧＩ制覇。スプリングＳ２着、皐月賞が見せ場十分の６着。ダービーを早々にキャンセルして、ユニコーンＳ一本に背水の陣で臨んで来ているのです。これには多くの競馬ファンもアジアエクスプレスは不動！という説を支持。

　ところが、この日の東京は小雨がふる馬場状態。脚抜きが良くダートは高速化していたのです。こういう馬場はアジアエクスプレスにとって初めての経験。ポジションを間違うと大変な事態になることも、私には考えられたのです。

　結果的にこの不安は的中しました。前半は好位置のインで展開したのですが、勝負どころで前をうまく捌けず、中団の内に位置を下げてしまいました。

　しかも、外に出すにも出せず、内に閉じ込められ苦しい競馬。最悪の形になってしまったのです。

　そういった中で、うまく中団の外目で流れに乗ったレッドアルヴィス。４角で外からジンワリと好位置に上がると、逃げたコーリンベリーを捉えるとあっという間に突き抜けて圧倒。２馬身半の横綱相撲でした。１分３６秒０は、この日の古馬１０００万クラスと同じくらい。やや恵まれた観はありますが、確実に地力を付けているようです。

　私は流れが速くなり、アンズチャンの末脚がフル回転するだろう、という見方をしていたのですが、大外から良く伸びて来ましたが４着まで。

末脚がいいので控える作戦はいいと思いますが、それにしても最後方。それもポツンと離れたシンガリ追走。直線勝負に賭けるあまりにも消極的過ぎました。これではラスト３５秒台前半の切れ味が求められます。

　やはり、ある程度付いて行けないと、高速のダート決着では無理。もっとも、ダート１６００ｍよりは１４００ｍのほうが、現時点ではベストかも知れません。アンズチャンは無念の４着でした。

　  圧倒的な人気を集めたキズナが天皇賞・春で単勝オッズ１.７倍。オークスで女傑ブエナビスタを上回る記録的な支持を集めたハープスターが単勝１.３倍。そして、先週の函館スプリントＳで人気が集中したストレイトガールが１.６倍。一方、ユニコーンＳのアジアエクスプレスが１.３倍。

　これら圧倒的な支持を集めながら期待に応えられず、ゴメンナサイ的敗退劇。この４頭の単勝総数票は莫大な金額で、それらは紙くず同然だったのです。

　先週の「函館スプリントＳ」。高松宮記念（１番人気）が３着。続くヴィクトリアマイルで３着。ＧＩでの結果から函館スプリントＳは、５勝も稼ぎ出しているベストの函館で、ストレイトガールでアッサリだろう、というファンの一致した見方は当然。

　ところが、１２００ｍという距離はチョットしたことが致命的になることがあります。あのロードカナロアも一昨年の高松宮記念でカレンチャン、サンカルロにクビ・半馬身差の３着だったし、昨秋のスプリンターズＳも実に際どい優勝でした。

　今回のストレイトガールも同じことが言えました。前半は中団のイン、４角では好位置に進出しながら、直線で前がカベになり、横にも他の馬がいて追い出すにも追えない状況。岩田騎手が手綱を持ったままでゴールイン。応援していた大多数のファンの悲鳴が聞こえるようでした。

　同じことが３番人気に推されたスマートオリオンにも言えました。３番手の絶好のポジションを占めながら、直線までこの位置をキープしていたら、外からどっと他の馬が押し寄せて、内でにっちもさっちもいかない状況。完全に脚を余して不完全燃焼の９着敗退。

　１２００ｍ特有のブンブン飛ばす馬がいて、縦に長い展開になれば、それぞれ個々に力は出せるのですが、程よいペースで先頭から後続まで団子のような形の展開になると、他の馬と接近していて、動くに動けないケースになりがちなのです。今回はその後者のケースだったように思います。

　戦前、フォーエバーマークの村田騎手は「この馬は先手を取ったときに一番持ち味が生きるので、今回はハナにこだわって逃げてみたい」とコメント。

　このフォーエバーマークの逃げ宣言で、他の同じようなタイプは好位で折り合いに専念することに妥協。

　スタートを切り、フォーエバーマークが一気に先頭。その後にメモリアルイヤー、レオンビスティー、スマートオリオン、グリーンエコロジーが２、３番手グループを形成。その直後にはストレイトガール、アースソニック、ハノハノが差なく追走。後方にはインにガルボ。外にセイコーライコウ。その真後ろにクリスマス、その外にローブティサージュ。

　４角で馬群がギュッとかたまり、後方にいた馬は外に広がります。主導権を取り懸命に頑張るフォーエバーマーク。ゴチャゴチャした馬込みの中を、ガルボが突入したところが実に絶妙で、前が開いてスーっと先頭に立ちかけます。一方で、前が詰まりどうしょうもなくなったストレイトガール、スマートオリオンを横目に、小回りが利くクリスマスが内から猛然と接近。

そのときでした。後方から４角で大外に出したローブティサージュが一気に追い込んで先頭グループに猛接近。ゴール前で中からガルボが先頭に立ち内からクリスマス。そして外からローブティサージュ。

結果はガルボが、クビ差ローブティサージュを振り切ってゴールイン。クリスマスが押し上げて３着となりました。８→６→４番人気で３連単が８７万円台。３連複は９万円に近い配当。馬連でも２万７千円台。

◎ローブティサージュ。△ガルボ、△クリスマス。ほぼ私の願いが通じました。