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運の強い馬が勝つ!この言葉が胸にしみた日本ダービー!!

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 サラブレッドとして生を受けた以上、どの馬もダービーを目指すと言われた「日本ダービー」。そこにはオーナーはもちろん、調教師、騎手、担当厩務員、そして生産者。多くのファンを含めた夢や希望を乗せて、選ばれし精鋭、優駿たちは栄光のゴールを目指します。

 私は当初からある1頭の馬に目を付けていました。それは皐月賞で◎を打ち、惜しくも3着だったウインフルブルーム。強力な逃げ馬が不在、直線の長い東京で間違いなくスロー。皐月賞よりもウインフルブルームには楽な展開が望める、トゥザワールドは皐月賞の失敗を考慮して、ジックリと行くだろうと予測。となるとスイスイと逃げ脚を伸ばせるウンフルブルームにチャンスあり、と判断したのですが、事態は急変。出馬表が発表されて数時間後には出走取り消し!という衝撃のニュース。

ああ・・と、私は落胆してしまいました。すべてのダービーに寄せる夢や、渾身の予想が砂糖菓子のように崩れ落ちて行く感覚を覚えました。

それでも落胆ばかりしていられません。気を取り直し、頭を前に進めてみました。そこで選んだ馬がトーセンスターダム。きさらぎ賞でクラシック候補バンドワゴンを破った馬です。武豊騎手も皐月賞よりもダービー向きと公言していたくらいでした。実際、皐月賞はインの悪い馬場に脚を取られて伸びを欠いてしまい不完全燃焼。

ところが、枠順が17番枠。この枠から待機策で外々をまわって優勝争いに持ち込むのは至難。救いは流れが遅くなりそうなこと。スタートのいいトーセンスターダムは、前に出て好位置をキープする作戦に武豊騎手は考えているはず。そう感じて大きく取り上げたのでした。

一方で、エキマエという馬が出てきました。ダートの兵庫Chを、やっとこさ押し切ってダービーに登場。芝は1度走ってぼろ負け。普通はこの手のタイプはダート路線を歩むものですが、勝算度外視で、日本ダービーを走らせてみたいという関係者の思いからか参戦に踏み切ったようでした。

となると、この馬が破れかぶれの逃げに出てくるだろう。“先頭はエキマエ、先頭はエキマエです”というアナウンスは、駅前の銭湯のオジサンが泣いて喜びそうなキャッチコピー。このアナウンスは81回のダービーとして、未来永劫出てくるはずです。

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陸上自衛隊のファンファーレとともに場内に湧き上がる大歓声。ゲート入りが始まりました。

ややスタートに難があるイスラボニータが好スタート。「他に行く馬がいなかったら自分が行ってもいいくらいの気持ちでいました」と、レース後そう語る横山典騎手。

イスラボニータもまずまずのスタート。トーセンスターダムもポンと前に出ます。ところが、主導権を取るはずのエキマエがワンテンポ遅れてスタート。それでも「オレが行く、オレが行く!」とばかりにエキマエの江田騎手が激しく手綱を動かして先手を取りに行きます。従ってスタートして2ハロン目が10秒6。この流れについて行こうと前に出る1番人気のイスラボニータも口を割り引っ掛かっている様子。内のワンアンドオンリーも掛り気味。懸命に内でなだめています。

2コーナーに向かって離し気味に飛ばすエキマエ。まさに“エキマエ先頭、エキマエ先頭”なのです。2番手でトーセンスターダム。その後に、イスラボニータが引っ張り切れない勢いで3番手。そのあとにインをピッタリにワンアンドオンリー。最後方から追い込んで来るワンアンドオンリーがこの位置をキープ。その直後にはインをピッタリにマイネルフロスト。隣にはタガノグランパ。そしてベルキャニオンが中団の内。アドマイヤデウスがいて、その後ろに2番人気トゥザワールド。さらにその後ろには紅一点のレッドリヴェールとショウナンラグーンが追い込みに賭けます。

前半3ハロンが34秒9、半マイル4ハロンが47秒1。ここからガクンとペースが落ちます。一団は2コーナーをまわって先頭はエキマエ。離れてトーセンスターダム。このあとにピッタリとイスラボニータ。ワンアンドオンリーもやや掛り気味に積極策。中団のインにマイネルフロスト。背後に追走するトゥザワールド。

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1000m通過が59秒6平均ペースで流れて行きます。12秒台が続いて3コーナーを迎えました。離して逃げるエキマエは手応えがやや怪し気味。2番手のトーセンスターダムの武豊騎手が少し仕掛けてエキマエを追います。ところが、そのエキマエは4コーナーを前にして急ブレーキ。故障発症で一気に後退して行きます。

4コーナーを先頭でまわったトーセンスターダム。直後にはイスラボニータ。タガノグランパが3番手。内にワンアンドオンリーでマイネルフロストも続きます。中団から外に出すトゥザワールド。

先頭に立つトーセンスターダムに直後で追い出しのタイミングを計るイスラボニータ。直後に忍び寄って来たワンアンドオンリー。そのときでした。外のイスラボニータに並びかけられたときに、驚いたかのように内ラチに激突したトーセンスターダム。大きく立ち上がり落馬寸前。

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先頭に立ったイスラボニータを目標にしてきたワンアンドオンリーは、抜群の手応えで馬体を並べて行きます。ゴール前は2頭の叩き合い。懸命に盛り返そうとするイスラボニータ。並びかけたワンアンドオンリー。激しい叩き合いはゴールまで続きましたが、終始余裕があったワンアンドオンリーに軍配が上がり81代目のダービー馬に輝きました。

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横山典弘騎手は歓喜のパフォーマンス。天に向かい右手を突き上げ、人差指を突き出し、日本一をアピール。ご来場された皇太子さまも拍手で賞賛。

そういえば、名コンビ横山典弘騎手とワンアンドオンリー同じ誕生日で2月23日。またオーナーの前田幸治さんも同じ2月23日。そして、皇太子さまも同じ2月23日だったのです。

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皇太子さまは「そんなこともあるものなのですね・・」と、笑顔で語っておられたそうです。

“ダービーは運の強い馬が勝つ!”その言葉を改めて認識したダービーでした。

運と不運!際立っていた「優駿牝馬」ワン・ツー・スリー!!

 「ハープスター断然!」「ハープスター2冠確定」という見出しが躍る中で、行われた「優駿牝馬・オークス」。秋には渡仏して凱旋門賞というプランが、なんとも競馬ファンの心をくすぐります。

あのブエナビスタ(単勝140円)の単勝支持率を上回る60%超えで、クリフジ、トキツカゼ、ミツマサに続くオークス史上第4位(1.3倍)ベスト3はすべて優勝。これに続くかハープスター。

某テレビ局の実況アナウンサーはゴール手前からハープスターの連呼。それだけ彼女に対して絶対観が浸透していたようでした。

とはいっても、阪神ジュベナイルFでハナ・クビ差の大接戦。桜花賞でも勝ったとはいえクビ差。過去のGIでは写真判定の大接戦だったのです。いつも他を圧するような強烈な追い込みで強襲をかけるハープスター。前半はドキドキで、直線は確実に追い込んで来るその姿に、ハッピーエンドのドラマ性と、そして厚い信頼感。多くの競馬ファンは目の前の夢を乗せていたのかも知れません。

とはいっても、初めての東京、そして2400m。スタンド前の発走。残された大きな関門があったのです。

そして、大歓声の中でゲートが開きました。内から内田博騎手のペイシャフェリスが飛び出して、これを追うように大外のエリザベートと、マイネグレヴィルが急追。そしてマジックタイムが続き、この直後のインにバウンスシャッセ。外にブランネージュ。ヌーヴォレコルトがバウンスシャッセの直後を追走。並んでマーブルカテドラル。中団の外にはフォーエバーモア。後方にはディルガ、ベッラレジーナとニシノアカツキ。そしてハープスター。最後方をポツンとクリスマス。

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前半3ハロンが35秒2、半マイルが48秒0。昨年のクロフネサプライズが逃げた時が35秒7-47秒7。同じようなペースで前半は進んで行きます。

そして、2角をまわり向こう正面にさしかかったあたりが5ハロン通過標。ここで60秒7。昨年の59秒6よりも1秒もダウン。3年前のピュアブリーゼが逃げた時の60秒7と、まったく同じタイム。12秒7-12秒8と一向にペースが上がらないまま3角を向かえました。で、1400m通過が1分26秒2。昨年の1分23秒8と比較してもガクンとスローにダウン。

順位はほとんど変わりありませんが、外を通って5番人気のフォーエバーモアがじんわりと中団の前の位置に進出。馬群がギューと凝縮してきて後続馬も接近。ハープスターも後方で手応えはバッチリ。

そして4コーナーでも先行3頭が引っ張ります。その後にマジックタイムとマーブルカテドラル。そしてそれに続くプランネージュとフォーエバーモア。その直後に内からバウンスシャッセ、その外に並ぶヌーヴォレコルト。サンレグアルも並んできました。後方にニシノアカツキと真後ろにハープスターが追撃態勢。 直線は先行勢がしぶとく抵抗する中で、中央からマーブルカテドラル、その内にプランネージュ。それに続くフォーエバーモア。その直後にヌーヴォレコルトと内にバウンスシャッセ。最内からシャイニーガールがフラつきながら外にモタれ気味に寄って来ます。このあおりをモロに受けたのがバウンスシャッセ。プランネージュが前にいて、内外からサンドイッチ状態で北村騎手が手綱を引く場面。このとき他の馬と接触。そして今度は仕方なく内に進路を求めます。

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一方、直線入り口では最後方近くにいたハープスター。川田騎手がゴーサイン。外から伸びかけたときに前にいたニシノアカツキが、もう一つ外側に進路を取ったために、そのアオリを直接受けたハープスターが、ややブレーキをかけて、それから2、3頭分外に出して懸命に追い出しをかけます。うなるような末脚で前を追います。このときでした。左前脚の蹄鉄がパクパクとはずれかけているのです。

ゴール前で馬場中央から抜け出したヌーヴォレコルト。内に進路を取ったバウンスシャッセ。外から迫って来るニシノアカツキと大外のハープスター。

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左ステッキを振り下ろしてゴールを目指すヌーヴォレコルト。大外のハープスターの脚が目立ちます。内にはバウンスシャッセ。ハープスターが激しくヌーヴォレコルトに追い詰めたところがゴールでした。その差はクビ。またクビ差で3着がバウンスシャッセ。

優勝したヌーヴォレコルトの勝ちタイムが2分25秒8。昨年のメイショウマンボが2分25秒2、一昨年のジェンティルドンナが2分23秒6。やや物足りなさが残りました。

また、直線での大きな不利がなければ、着差からおそらく私の◎バウンスシャッセが優勝したと考えています。

また、ハープスターも蹄鉄が外れるアクシデントがなければ2冠馬に輝いていた可能性があります。

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運があったヌーヴォレコルト。不運だったバウンスシャッセ、そしてハープスター。この明暗が左右したオークスでもありました。

写真のハープスターの左前脚の蹄鉄がはずれかけていることが確認できます。

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