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伝家の宝刀か内田博Jのトリック的逃げで勝負あり!

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 注目のマイルの女王決定戦ヴィクトリアマイル。優勝したのはなんと11番人気まで株を下げたヴィルシーナ。昨年に続き内田博騎手で連覇でした。

当初、私は現在の高速馬場と、同型と思われたケイアイエレガントが外枠13番を引いたので、これはクロフネサプライズの単騎逃げは間違いないだろう。2番枠と最高の枠を引き当てて、運命の神様も味方しているぞ!昨春のチューリップ賞で独走。桜花賞では1番人気に推された馬。オークス以来となった前走の阪神牝馬Sでも逃げまくって、今回のヴィクトリアマイルで1番人気のスマートレイアーとわずか0秒2差。このひと叩きで坂路の動きも上昇急。

高速馬場で絶好の枠からポンと一人旅。競り込んで来そうなタイプも見当たらないことから、直線ラスト2ハロンでスパートをかければ、逃げ切りまで十分にあるぞ!と、内心ほくそ笑んでいたのでした。

とにかく、楽に気持ちよく先手を取れるメンバー構成なので、クロフネサプライズのパフォーマンスがフルに見られるはず。あとは直線で再加速するだけだとニヤニヤしながら思い浮かべていました。

楽に主導権を取れるだろう、という安堵感はクロフネサプライズの柴山騎手にもあったはずです。この枠でポンと出れば、間違いなく一人旅に持ち込める・・!

それゆえ、スタートを切って彼はまわりを見渡すことなく、外からヴィルシーナの内田騎手が、手綱を下からしごくように仕掛けて、行ったのを見たときに、現在置かれている状況を知ったのです。

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それで内から巻き返して主導権を奪うのでもなく、行きたがるクロフネサプライズを2番手で我慢させようと懸命。3角手前でヴィルシーナに前に入られたときに、クロフネは頭を横に向けて嫌がる素振り。これでこのレースの大勢は決まったな、と考えました。ヴィルシーナの逃げ切りまであるだろう。クロフネはもう無理。外から一気に被されたときにはお手上げだ・・。私は悲鳴にも似た気持ちでいっぱいでした。

ヴィルシーナは私の予想上の上位5頭の1頭。ベストの春シーズン。そして東京コースで、そして予期せぬ有利な単騎マイペースの逃げ。スタートで内田騎手のこれ見よがしのアクション“振り”の高等戦術。楽に絡まれず主導権を取り、これは間違いなく勝ち負けになる!そう私は考えると、後悔の念にも苛まれていたのです。

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主導権を取ったヴィルシーナは前半の3ハロンを34秒7、そして半マイルが46秒2という絶妙のペース。2番手で走り辛そうなクロフネサプライズ。その直後にキャトルフィーユと、外には今年に入り地力を付けてきたケイアイエレガント。その後ろに位置したのがインにホエールキャプチャ。その真後ろのインに積極策のメイショウマンボ。外にはエクセラントカーヴ。それから直後のインにストレイトガール。一団から少し離れてデニムアンドルビー。後方にはウリウリとゴールデンナンバーが指定席。

そして4コーナーを先頭でまわるヴィルシーナ。クロフネサプライズの柴山騎手はここで仕掛けて出ますが、前のヴィルシーナを捉えきれません。その外からケイアイエレガントが先頭に急接近。直後にはキャトルフィーユでしたが、このとき内から外に出していたホエールキャプチャが外からジワジワ浮上。その内には同じ黄色の帽子のキャトルフィーユ。最内のラチ沿いをつくメイショウマンボ。その直後で機を窺っていた1番人気のスマートレイアー。内から追い上げたストレイトガールが、外に出そうとしたために、挟まれる感じで苦しくなったスマートレイアー。

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先頭はヴィルシーナ。内からメイショウマンボ。外からホエールキャプチャ。その間を接近してきたストレイトガールとキャトルフィーユ。

「相手が内と外から来てくれたことも、この馬の闘志が出てかえって良かったね」と内田騎手。

結局、優勝はヴィルシーナが見事に押し切って優勝。2着に内のメイショウマンボ。3着がホエールキャプチャを捉えたストレイトガールが3着に飛び込んで来ました。

時計が1分32秒3。昨年、一昨年が1分32秒4。同じような時計での逃走劇。見事なものでした。

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強運を味方につけた断然人気のミッキーアイル一人旅!

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   驚きました!1番人気のミッキーアイルがスイスイと逃げて、アッサリと逃げ切っちゃいました。それもミッキーアイルはスタートでモタモタ。それでも、連勝を重ねてきた二の足を利かせて先頭。他の馬はこれを傍観するのか、初めからミッキーアイルが行くだろうという先入観が各騎手の間であったのか、シナリオ通りにミッキーアイルはアッサリと楽な一人旅モードに入ってしまうのです。

 私は当初、内の3番枠を引いたダンツキャンサーが、直前のマーガレットSを逃げ切って勝っていることからも、おそらくミッキーの前に出て行くだろうと推察。ミッキーは途中から先頭に立って逃げ込む作戦かな、と見ていたのですが、ミッキーの楽な単騎逃げで考えていたこととは異なるストーリーになってしまいました。

 スタートで大きく遅れたアルマエルナト、いつものように出負けしたロサギガンティアが後方。ところが、最高の馬場コンディションで前半が34秒6、半マイルが46秒6といった平均ペースよりもやや遅めの流れ。それゆえ先頭から後方まで一団に近い形で進みます。

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 私が注目していたサトノルパンが、この遅めの流れに好位5、6番手で行きたがる仕草で武豊騎手がこれを抑えるのに懸命。

 逃げるミッキーアイルの2番手にホウライアキコ、3番手のインにダンツキャンサー。サトノルパンがショウナンアチーヴの外6番手。直後にアトムで外からエイシンブルズアイ。その後ろのインにタガノブルグとキングズオブザサン。その外にショウナンワダチ。最後方にアルマエルナトとロサギガンティア。

 そういった形で坦々と流れて行きます。4コーナーを回ってミッキーアイルの逃げ足は快調そのもの。手応え十分でホウライアキコ。それに続く形でインコースをピッタリにショウナンアチーヴ、その直後に迫って来たタガノブルグとキングズオブザサンの1枠2頭。サトノルパンも好位置でしたが、直線に入ると内から外に出そうとする馬、一方、外から内にもたれるように他馬が切れ込んできたために何頭かの馬が塞がれる不利。

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 サトノルパンが致命的でした。直線を好位置で余力十分に回ってきたのですが、内と外から馬群が中央に寄って来たために、手綱を引く場面。そこから何もできなく後方4番手くらいまで後退。仕方なく大外に出して追い出しをかけたときがラスト200mのハロン棒。

 まさか最後方にいたロサギガンティアを、逆にゴール前で追いかける展開になるとは、我ながら目を疑いました。サトノルパンはNHKマイルC直前のファルコンSで、今回と同じような展開になりながら、騎乗していた、いぶし銀の小牧騎手はそこをこじ開けるように中央突破。2着にノシ上げたのです。

 前半の展開の利、絶好の馬場コンディションでインサイドをピッタリ。優勝したミッキーアイルはいかにも恵まれた展開になりました。2番手外からのホウライアキコを振り切り、厳しい間を突っ込むように鋭く差してきたキングズオブザサン、その外から鋭く迫ったタガノブルグ。さらに大外からグンと肉薄したロサギガンティアと、ゴール前は一同並んでゴールイン。

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 ミッキーアイルがクビ差だけ後続を振り切って優勝。2着争いはタガノブルグとキングズオブザサン。ゴール前で外から鋭く伸びたロサギガンティアを振り切って2、3着。

 牝馬ながらホウライアキコがしぶとく頑張り5着。3番人気のショウナンアチーヴは直線でやや不利も重なって6着。サトノルパンはゴール前200mだけ追って9着。勝ち馬と0秒4差。実にもったいない一戦でした。

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 優勝したミッキーアイルについて、音無調教師は「ペースは恵まれました。楽な形での逃げでしたからね。最後に苦しがって詰め寄られましたが、あれはミッキーが休み明けだったからでしょう」と解説。

 GIレースは実力だけではなかなか実を結びません。やはり、運を持っているのか持ってないのか、この差は今回のNHKマイルCからも、よけいに伝わって来ました。