ウオッカが牝馬としては64年ぶりに日本ダービー制覇という大変な偉業を達成して以来、○○年ぶりという言葉を聞くと、なんとも胸がときめくのです。
そんな中で、先週は○○ぶりという言葉がニュースとなって伝わってきました。毎日王冠がそれです。このレースは最終日に行われる天皇賞の前哨戦。というわけで、天皇賞を狙う有力馬が参戦。
ところが、今年は菊花賞に出ても有力視される3歳の代表格であるペルーサ、アリゼオ、エイシンアポロンが登場。過去10年、7頭の3歳馬が毎日王冠に乗り込んで来ましたが結果はすべて着外。古馬の壁というより菊花賞に出ても勝てそうにもないから、あるいは距離が長いから毎日王冠を選んだという馬がほとんどでした。単に馬のレベルの問題だと思われます。
ところが、今年は違いました。圧倒的な強さで青葉賞を独走し、まさに向うところ敵なし状態だった大物ペルーサが登場。残念ながらダービーは2番人気に推されながら、致命的な大出遅れ。このアクシデントがありながら直線大外から鋭く0秒5差6着。敗れてさすが!という認識をファンにアピールしました。
更に、スプリングS優勝、皐月賞5着のダービーでも穴人気に推されたアリゼオ。GI朝日杯FSで大将格ローズキングダムに2着と続いたエイシンアポロン。この3頭の3歳馬が古馬に挑戦する形で毎日王冠に参戦。
ところが、今年は昨年のようなウオッカとかカンパニーといったGI馬としての風格のような物を持っている古馬が不在。安田記念を制し3連勝のショウワモダンはその3戦が、7、6、8番人気。ゆえにペルーサが圧倒的な人気に推されることは、当然と言えば至極当然でした。
逃げるのはシルポート1頭。約束された単騎逃げ、一人旅のように映りましたが、休養明けのオールカマーから中1週。恐らく一杯一杯の仕上げだったと思います。スタートでまたもやペルーサが出遅れ。
前に行かないと勝ち目がない、天皇賞出走には何んとしても勝たないと・・と考えたのかアドマイヤメジャーが、これまでとは一転、2番手の積極策。3番手に内にエイシンアポロンとその外にスマイルジャック。これらはいずれもスロー対策。その後にショウワモダンとアリゼオ。そしてマイネルスターリーとネヴァブション。ペルーサはポツンと最後方。
前半の5ハロン通過が58秒9。やや重馬場ではゆるみのない流れ。ところが、日経のN記者いわく「昼頃に芝生の上を靴で歩いたら、靴に水分がつかないんですよ。普段、重馬場なら靴がビショビショになるんですが、見た目以上に馬場の渇きが早かったんでしょうね。あれだとアウトサイドを走った馬は厳しいでしょうね。インサイドはビロードのように芝が生え揃ったコース。ロスなく走った馬が断然有利ですよね」と、私の耳元で囁いていました。
まさしくその通りの結果となりました。好位置からエイシンアポロンが抜け出し、その直後で機を窺っていたアリゼオが、直線で進路をインサイドに入り、激しい叩き合い。ハナ差アリゼオが勝負強さ発揮して優勝。2着が惜しかったエイシンアポロン。3歳勢のワン・ツー。
3着が芝1,800mは1回しか経験がなく、それも6着と距離不足、休養明けのネヴァブションが最内から強襲。直線で外から追い込みをかけたペルーサはラスト34秒3というメンバー最速のタイムで力走しながら5着がやっと。ゲートでのミスが最後まで応えた印象です。
3歳馬の優勝は先日惜しまれて亡くなったオグリキャップ(1988年)以来、実に22年ぶり9頭目の快挙。3歳馬の1、2着は52年ぶりというのですから、また新しく歴史に書き加えられることになりました。
一方、同じ日に京都大賞典を制したメイショウベルーガ。2着オウケンブルースリ。ドリームフライトが大逃げを打って、速い流れの競馬になってしまいました。その流れを利した形で、メイショウベルーガが優勝。ゴール前で猛追したオウケンブルースリが半馬身差届かず。とくにオウケンは昨年のジャパンC以来。馬体重が22K増。やや急仕上げだということを音無調教師もコメントしていたので、この2着好走の意義は大きかったと思います。次走は楽しみです。