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超スローもお見通しか、お見事!ハンデキャッパーのミクロの着差!!

 このところハンデ戦は何とも合点がいかない斤量差でしたが、今回の新潟記念はこれまでの不服なハンデ戦を覆すようなレース結果となりました。ハンデキャッパーの方々、拍手拍手です。
 優勝したホッコーパドゥシャからブービー17着のマイネレーツェルまで、わずか0秒7差。9着のマルカシェンクでたった0秒2差。芝2,000mの外回りを走ってきてこの着差はまさに芸術的です。驚きました。
 戦前、エアシェイディの58Kは軽いと見ていたのです。何故なら昨年秋の天皇賞で、ウオッカ、ダイワスカーレット、ディープスカイといった最高のレベルの馬たちと、58Kを背負い互角の0秒1差。更に有馬記念が3着。小倉記念で初重賞勝ちしたエアシェイディと同じ年齢のダンスアジョイが56K。わずか2K差はどう考えてもミスハンデだろう、59Kでないとエアシェイディに失礼だと思ったものです。
 これはこれで正解だと見ていますが、エアシェイディが体調を崩し、予定した函館記念、札幌記念を回避。何とか格好がつく仕上がりになったとはいえ、まだまだ本調子には欠ける印象。印は△でしたが、正直厳しいとの考え。それで直線大外から強襲。首・半馬身・頭差の惜しい4着。58Kのハンデの恩恵と超スローペースで、団子の展開になったことで、瞬発力を発揮して大接戦の4着に好走できたと思います。この流れ、体調、コースをシャッフルして導き出した58K。いやあ、お見事でした。
 優勝したホッコーパドゥシャは今春の福島民放杯でレコード勝ちしたときから、距離が延長して真価が出た、と大いに注目していたのですが、新きゅう舎として開業した村山調教師とのコンビも絶妙。7歳にして本格化の印象です。このあと中央の坂のある舞台で、どんなレースをするのか目を離せません。
 本格化といえば、サンライズベガです。新潟記念は逃げたメイショウレガーロの2、3番手。スローで折り合い、ゴール前で先頭に一旦抜け出したところを、惜しくも首差差し込まれてしまいました。とはいえ、初重賞で大接戦。日本海Sでの圧勝劇。間違いなく充実期に入ってきています。これで速い流れに対応できると、完全に本格化でしょう。
 新潟記念で2番人気に推されたデストラメンテは14着。2、3番手で流れに乗りましたが、ラスト33秒台の決着になると厳しいかも知れません。
 また、ダイシンプランはゴール前で失速気味。体調か距離2,000mが長いのか。それとも左回り? 好素材であるがゆえ今後を見守りたい1頭です。
 とはいえ、見応えのある、最後の最後までハラハラどきどきさせる、ハンデ戦ならではのスリリングな新潟記念でした。

単勝1・5倍!無敵のブエナビスタ陣営が凱旋門賞の遠征を諦めた真意は・・?!

 札幌記念で圧倒的な人気に支持された無敵の女王ブエナビスタ。今年の秋には競馬の最高峰「凱旋門賞」へ遠征と、競馬ファンの期待度を一心に集めていました。それでは渡仏の前にということで、ステップ・レースとしてチョイスしたレースが、今回の札幌記念だったのです。
 フタを開けてみると、予想されたとはいえ単勝が1・5倍の断然人気。古馬初挑戦で札幌の洋芝コースも初めて。桜花賞やダービーで見せた驚異の末脚が冴え渡るのか、話題は事欠きませんでした。もっとも、よしんば負けることがあっても、よほどの負け方をしない限り、凱旋門賞には遠征をするだろう、と見ていたのですが、事態は意外な方向に動いていたのです。
 天気が傘マークで雨が心配された札幌記念。どんよりとした雲は天空にあったものの雨が落ちてくる気配はなし。雨でパワーを要求される馬場状態になると不安になるブエナビスタにとって良馬場はなによりの歓迎だったはずです。
 主導権を主張したのは中舘騎手を配してきたドリームサンデー。2番手にマンハッタンスカイも予定通り。ヤマニンキングリーとブラックアルタイルがその直後。前半5ハロンが60秒2。函館記念の60秒8よりいくらか速い流れでしたが、まずは平均ペース。この流れは函館記念とほとんど同じ。後方位置でいつものように走るブエナビスタ。3角過ぎにグランプリ馬マツリダゴッホが外をまくって行ったときに、ブエナビスタも付いて行こうと進出態勢。ところが、直線でマツリダゴッホはアラアラ状態。直線で好位置から抜け出したのがヤマニンキングリー。ゴール寸前で大外から強襲をかけたブエナビスタを振り切りヤマニンキングリーが優勝。首差でブエナビスタ。良く伸びていたのですが、オークスで見せたような凄み、迫力にやや欠けたような気がしました。
 ヤマニンキングリーは3月の中京記念以来の実戦。にもかかわらずマイナス20K。きっちり絞り込んだとの見方もできますが、決してベストの状態ではなかったと思います。実際、勝ちタイムの2分0秒7は昨年のレコード決着(1分58秒6)に比べると、はるかに落ちますが、ほとんどが2分0秒台の優勝タイム。悲観材料ではありません。
 ところが、内容を吟味してみると、ブエナビスタが海外遠征を諦めた理由が見えてくるのです。本調子にはなく9着と凡走したマツリダゴッホ以外は、どうみても二線級のオープン馬。その馬たちと52Kのブエナビスタが、まるでハンデ戦並みの大接戦。出遅れて5着に押し上げた13番人気のトーセンキャプテンと、ラスト3ハロンはまったく同じの35秒1。わずか0秒2差だったのです。レースの上がりタイムが36秒2と、先行馬がバタバタ状態で、差しきれなかった焦燥感も関係者にはあったかも知れません。
 パワフルな能力も要求される凱旋門賞。そのテストケースとして札幌記念があったとしたら、凱旋門辞退は納得がいきます。残念ですが国内秋戦線に期待しましょう。