
「祭りだ!祭りだ!キタサン祭り!」さぶちゃんの熱唱が、夕闇のスタンドに鳴り響いていました。
今年の締めくくりグランプリ「
有馬記念」。大一番の後、検量室の前に行くと、なんと「さぶちゃん」と遭遇。
「お!アベコーさん、ありがとう、ありがとう」と、あったかい手を差し出してくれました。
この日、1番人気に推されたキタサンブラック。ラストランと言うこともあって、人気に拍車をかけていました。

昨年の
有馬記念で逃げまくったマルターズアポジーが不在。優勝したサトノダイヤモンドやゴールドアクターも不出馬。役者がいないということもあって、主導権を取って一人旅に持ち込みたいキタサンブラックにとっては、同型タイプの
カレンミロティックが15番枠。これ以上ない2番枠という最高の枠順を引き当てたキタサンブラック。すべてに
有馬と言う良い風が吹いていたように思われます。


スタートでポンと五分に出れば、他は何も来ない、それは
武豊騎手の狙い通りでした。対する2番人気の
スワーヴリチャードが出遅れて後方に置かれます。
ジャパンCでキタサンブラックを破ったシュヴァルグランが中団に置かれます。
スタンド前を過ぎて2コーナー。まさに単騎逃げの形だったキタサンブラック。ここで一段とペースダウン。13秒3-13秒2-12秒8。このとき前に行けなかったシュヴァルグランと
スワーヴリチャード。結果的にこのときの位置取りの差が最後まで応えた格好となりました。
スイスイと師走の風を切って走るキタサンブラック。それは、まるでラストランを楽しんでいるようにも見えました。
「これはマズい!」と考えたM
デムーロ・
スワーヴリチャードが動きます。3コーナーから外をまくるように前に進出。

そして4コーナーからラストスパートをかけるキタサンブラック。前に行っていた馬は、このキタサンのスパートについて行けません。そのことは
武豊騎手もおそらく計算済みだったのでしょう。
好位内からしぶとく伸びるクイーンズリング。その外にはトーセンビクトリー、サクラ
アンプルール。その時でした。アクシデントが起きたのです。外からスパートをかけた
スワーヴリチャードが内側に寄れて、シュヴァルグランに接触しそうになり、その煽りをまともに受けた内のサクラ
アンプルール。騎乗した
蛯名騎手が立ち上がり急ブレーキ。
それを矯正しようとM
デムーロ騎手が右ステッキを入れて、態勢を立て直しをはかります。そんなことなど知らない逃げる
武豊騎手とキタサンブラック。そのままゴールをトップでテープを切っていました。
2着争いは内の馬込みをうまく捌いたクイーンズリング、その外のシュヴァルグラン。そして、ゴール前で脚色が鈍った
スワーヴリチャードが馬体を併せるようにゴールイン。
優勝はキタサンブラック。初めてのグランプリ・
有馬記念制覇。2着がクイーンズリングで、3着がシュヴァルグラン。
スワーヴリチャードが4着。2着とハナ・クビ差の大接戦でした。

人気を集めたムーア
騎手のサトノクラウンは体調が戻らず13着と大敗。中団待機から後退していました。
そして、キタサンブラックの引退式。上機嫌のさぶちゃん。持ち歌の「祭りだ!祭りだ!キタサン祭り~♪♪」いつになく気合が入っていたように思います。

