ジュエラーの勝負強さ、破壊力はハープスター級!!
今年のクラシック第1弾、「桜花賞」を制したのは、キャリア3戦の1勝馬ジュエラーでした。ゴール前で先頭に躍り出たシンハライト。その内には圧倒的1番人気のメジャーエンブレム。その外からジュエラーがもの凄い勢いで強襲して来ました。
それでもシンハライトが一瞬、押し切るかにも見えたのですが、神がかりの豪脚でジュエラーがピッタリ馬体を合わせたところがゴールでした。
1番人気のメジャーエンブレムは4着に敗退。劇的な結末となりました。3歳牝馬相手のマイル戦であれば、クイーンCの1分32秒5の傑出スピードからも押し切れるとファンは判断したようでしたが、ドラマはそう簡単ではありませんでした。
そもそもメジャーエンブレムは、どうしてクイーンCから桜花賞というプロセスを選ばなくてはいけなかったのでしょうか。登竜門とされるチューリップ賞という選択肢はなかったか、私はここに一つのメジャーエンブレムの死角が見えていたような気がしました。
おそらく池添騎手のシンハライトは、メジャーエンブレムさえ負かせば勝てる!と考えていたのでしょう。それゆえレース中はメジャーエンブレムを目標に徹底的にマーク。直線で前の馬を捌くのに内で苦労しているメジャーエンブレムを見て“しめた!”と思ったのでしょう。ここから迷わず一気に仕掛けて出ます。内から盛り返すメジャーエンブレムを尻目に一目散に栄光のゴールを目指します。
これはこれで正解でした。ここでメジャーエンブレムに合わせて仕掛けをワンテンポ遅らせたら、勢いあるジュエラーの餌食にアッサリなっていた可能性があります。結果敗れたとはいえ、池添シンハライトは最高の騎乗だったのではないでしょうか。
メジャーエンブレムは2番手から4角で先頭に立って圧勝した阪神ジュベナイルF。そして楽に主導権を取って大楽勝だったクイーンC。このような形の競馬ができませんでした。スタート直後は3、4番手に付けられたのですが、外から次々にやって来て位置を下げざるを得ませんでした。勝負どころの4コーナーでは7番手のイン。それを直後で見ているのがシンハライトでした。
しかも、メジャーエンブレムは前に先行した馬がいて壁になっている厳しい競馬。開いた隙間を狙って強引に前に出ようとしたときに、すでに外にはシンハライトいたのです。こうなるとシンハライトの末脚が一枚上でした。まさに池添シンハライトの勝ちパターンだったと思います。
ところが、ドラマの主役は後方で満を持していたのです。最後方から2番手で一番外をまわります。そして追い出すとケタ違いの伸び脚でグングン前に急接近。内のメジャーエンブレムを捉えて、シンハライトに一気に肉薄。逃げるシンハライト、追うジュエラー。そしてシンハライトにピッタリと並んだ時が、ゴール板前でした。
長い写真判定でしたが、軍配はジュエラーの勝ち。ハナ差でした。ゴール過ぎに池添騎手に、結果の確認を取るMデムーロ騎手。わからないとばかり首を振る池添騎手。
それでも、検量室に引き上げるときに、関係者が教えたのでしょう。“やったー!”とばかり、ガッツポーズ!最高の笑顔で喜びを表現。
「日本に来てから一番勝ちたかったレースが桜花賞だったのです。だから最高にハッピーですよ。そしてヴィクトワールピサの子供で勝てたことも嬉しい」と、Mデムーロ騎手がコメント。
1分33秒4の勝ちタイムは、2年前のハープスターに0秒1差劣りますが、自身のラスト33秒0は、まさにハープスター2世誕生と言えるでしょう。
キャリア3戦での勝利は、5年前のマルセリーナ以来のこと。1勝馬の優勝は3年前のアユサン、そして昨年のレッツゴードンキに続くものでした。
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奇襲策で力を見せたY・Nのあっぱれ騎乗に場内は拍手拍手!!
「阪神大賞典」の次に控えたのが「大阪杯」。ご存知、もう1ヵ月を切っている「天皇賞」の前哨戦。3年前、ジャパンC以来となったオルフェーヴルが優勝。一昨年は凱旋門賞以来だったキズナが優勝。まさに世代を代表する馬が勝ち上がっています。
今年は人気の中心に推されたのがラブリーデイ。昨年は重賞6勝、宝塚記念、天皇賞・秋で念願だったGIを遂に制覇。古馬を代表する1頭に出世。有馬記念以来でしたが、多くのファンの期待を集めました。
ところが、今回は昨年、ほとんど騎乗していた川田騎手からMデムーロ騎手にチェンジ。デムーロ騎手にとっては初コンビ。私はラブリーデイという馬は、本来、先行タイプと考えています。好位から抜け出すパターンが理想的だと見ているのです。
超スローの展開で仮に中団で控えた場合に、直線でヨーイドンのパターンになると、切れ味がラブリーデイよりも勝る馬に遅れる可能性がある、デムーロ騎手はそのところを理解していないかも知れない。
不安は的中しました。4着に敗れてしまったのです。レース後、デムーロ騎手はこう言います。
「ペースが遅くて、終始引っ張りどうしでした。勝負どころでもスペースがなくて、動くに動けなかったね。今日は最悪の競馬になってしまったよ」と敗因をコメント。
レースは強力な逃げ馬が見当たらないことから、それではと言うことでキタサンブラックが労せず先頭。これに内から好発のヌーヴォレコルト。外からマイネルラクリマが2、3番手。ところが、スローを感じとったか横山典騎手のアンビシャスが外からスーと2番手に進出。マイネルラクリマが3番手に控えて、内からヌーヴォレコルト。その直後にイスラボニータ、外に並んだショウナンパンドラ。ラブリーデイはこの後のイン。外にはタッチングスピーチ。離れ気味にレッドイレヴンが後方。
1000m通過が61秒1。完全に超スローの展開でした。3コーナー手前で少しピッチを上げるキタサンブラック。2番手にアンビシャス。そこから後続が離れます。ヌーヴォレコルトにマイネルラクリマ。直後のラブリーデイの外にイスラボニータ。ショナンパンドラが外から並んでいます。タッチングスピーチが後方。
4コーナーを先頭でまわったキタサンブラック。これに続くアンビシャス。後続もようやく差を詰めて来ました。アンビシャスはここでワンテンポ仕掛けを遅らせて、後続のラブリーデイの位置を確認。そしてラスト200mからキタサンブラックに急接近。逃げるキタサンブラック。外から並びかけたアンビシャス。後続から直線外をショウナンパンドラが伸びて来ました。
前半のスローペースで余力を残していたキタサンブラック。そしてドゥラメンテを脅かした強靭な末脚の持ち主のアンビシャス。決め手の差でアンビシャスがキタサンブラックを、計ったようにクビ差捉えていました。
ラスト33秒6の決着で追い込んだショウナンパンドラは3着がやっとの印象でしたが、プラス14Kの馬体重。それゆえこの3着は収穫がありました。そして、ラブリーデイは4着まで。ラブリーデイには課題を残した結果でもありました。
優勝したアンビシャスは初めて2番手の積極策。横山典騎手ならではの味のある一戦でもありました。
「2番手だったけどリズム重視で乗ったよ。順調ならきっと大きいところを獲れる馬だと思う」とコメント。
キタサンブラックの武豊騎手は「アンビシャスがまさかあの位置にいるとはね・・」と、横山典騎手の奇襲策に脱帽していました。
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