今年の「
中山金杯」は不思議なレースでした。顔ぶれからスローの展開は憶測が付いていたのですが、それにしても、マイネルフロストが主導権を取り、それも2番手以下に5馬身近く離して逃げているのにもかかわらず、前半3ハロンが37秒2という超スロー。過去10年で一番遅い流れ。それでいて先頭から後方まで縦長になる不思議な展開。

私はこういったスローを予測して、2番枠と言う絶好の枠を引いたスピリッツミノルの単騎逃げを予測。人気薄の気楽さからノーマークで行けるこの馬の逃げ切りに期待したのですが、騎乗した
酒井学騎手は気持ちの上で負けていました。
内から楽に主導権を取って逃げられそうでしたが、これを見た
松岡騎手のマイネルフロストが外から先頭に並びかけて来ました。それに萎縮した
酒井学騎手は、突っぱねて主導権を主張するのではなく、すぐさま手綱を引いて道を開けてしまった格好となりました。

もし、
酒井学騎手が迷わず先手を主張すると、マイネルフロストの
松岡騎手が2番手に引いたはずでした。この事が結果的に大きなキーポイントだったのです。
先頭に立ったマイネルフロストは、遅いペースをスイスイと2番手以下を離し気味に逃げます。追いかけてはマズいとばかりにスピリッツミノルの
酒井学騎手は、懸命に手綱を引いて2番手を確保。
3番手に
ステラウインドで、その直後にいたのがネオ
リアリズム。懸命に
戸崎騎手が手綱を引いています。それを前に見てヤマカツエースが5番手。ブライトエンブレムが中団。その後ろに入った
ロンギングダンサーの外に1番人気の
フルーキー。
マイネルディーンと
ライズトゥフェイム後方で併走。最後方に
バロンドゥフォール。
前半の3ハロンが37秒2で、2コーナーから向う正面にかけては、2番手以下を5、6馬身離しています。2番手にスピリッツミノル。そこから少し離れて
ステラウインド。以下ネオ
リアリズム、ヤマカツエース、ブライトエンブレムと遅いペースなのに縦長の展開。後方
フルーキーは動きません。
1000m通過が62秒3。記録的なスローペース。その流れが一気にアップしたのが3コーナー過ぎでした。快調に逃げるマイネルフロストが、11秒台にペースアップ。まさにマイネルフロストの独り舞台のように思えました。4コーナーでも余力を残して直線に向きます。2番手のスピリッツミノルの外に並んだのが
ステラウインド、その外にヤマカツエースが併せてきます。後ろのネオ
リアリズムの反応がよくありません。


坂を上がって先頭はマイネルフロスト。ここからヤマカツエースがグングン肉薄して来ました。その勢いでゴール寸前襲い掛かり捉えたのです。大外から猛然と
フルーキーが追い上げて来ましたが、この超スローで後方の位置取りでは致し方なく3着が精一杯。

4着はこれも外から伸びた
ライズトゥフェイム。ラスト32秒6の切れ味は
フルーキーの32秒7を凌ぐ鋭さでした。2番人気のブライトエンブレムが6着。スピリッツミノルが7着で、4番人気ネオ
リアリズムは8着でした。

もし、スピリッツミノルとマイネルフロストが先頭と2番手が逆であったら、どういう結末になっていたでしょうか。勝ち馬と0秒4差からスピリッツミノルももう少し際どく粘れたはずですし、あるいはマイネルフロストは優勝していたかも知れません。それはもっと遅い流れになっていた可能性もあり、勝ち馬の仕掛けもあとワンテンポ遅れたかも・・。

また、人気の一角だったベルーフのレース前の放馬、競走除外は、状態がすこぶる良く見えただけに残念でした。
