東京新聞杯は戦前からスローペースが予期されていました。絶対的な逃げ馬が不在。ほとんどが差し追い込みタイプ。このペースを前提に考察することが、今年の
東京新聞杯を読み解くカギのようにも思えました。
おそらく、
テイエムタイホーが内枠を引いていれば、先手を取ると考えたのですが、皮肉にも大外枠。これで
戸崎騎手は主導権を無理に主張しないと思えたのです。ならばマイネルアウラートか、と思いつつ私が◎を打ったのがトーセン
スターダムでした。
今回はF・ベリー
騎手が騎乗。ところが、このベリー
騎手は前日の東京7レースで、勝ったと思ったヴァンキッシュランが、なんと降着で無念の2着。不運といえば不運。2月21日まで騎乗停止の処分。
その運のなさが
東京新聞杯のトーセン
スターダムにのしかかっていたようでした。2走前のGI
マイルCSでは3番手の積極策から
フィエロ、イスラボニータ、サトノアラジン、アルビアーノと差のない競馬をしていたのです。それゆえ、ポンと出ると
マイルCSと同じように先行策だろう、かなり粘れるはずだと考えたのです。

ところが、不運にも最悪のスタート。ポツンと出遅れてしまったのです。ペースが遅くて馬群の最後尾に取りつくことはできましたが、明らかに致命的な不利でした。
主導権を取ったのが、なんと
スマートレイアー。6歳牝馬でデビュー以来、初めての逃げ作戦。
「いやあ、まさか逃げるつもりはなかったですけど、他がなにも来ないので逃げることになっちゃいました」と
吉田隼人騎手。
外から
テイエムタイホー、中からマイネルアウラート。
エキストラエンド、ダイワリベラルが好位をキープ。1番人気のダッシングブレイズは中団のイン。2、3番人気のダノンプラチナ、グランシルクはスタートで後手。
前半3ハロンが36秒0、半マイルが48秒4。良馬場で行われた過去10年で一番遅いペース。1000m通過が60秒6。未勝利クラスよりも遅いような流れ。
こうなると、前に行っている馬にはえらく有利な形。それでも4コーナーまで追い出しを我慢する待機馬。

ペースが上がったのがラスト3ハロンから。11秒2-11秒0。その二枚腰で再加速の
スマートレイアー。マイネルアウラート、
テイエムタイホー、
エキストラエンドが懸命にスマートレイアーを追います。
最内に進路を取ったダッシングブレイズも経済コースを通り接近。
エキストラエンド、その外のマイネルアウラートの内からこじ開けるように入って来た時に、内ラチに接触し
浜中騎手が飛ばされて落馬。
そんなことは知るよしもなく快調に逃げ脚を伸ばす
スマートレイアー。ラスト1ハロンも11秒3でまとめて2馬身差の見事な圧勝劇でした。


2着争いが大混戦。それでも超スローの先行馬ペースで
エキストラエンドが2着を確保し、3着にマイネルアウラート。そこへ外からダノンプラチナが猛追し4着。
テイエムタイホーが5着。なんと3着から9着まで同タイム。その9着に期待したトーセン
スターダム。4角大外をまわりダノンプラチナから猛然と肉薄しました。
「スタートさえ決まっていれば勝ち負けになっていたでしょう」と、ベリー
騎手。
思わず私は「ああ・・」という溜め息が漏れてしまうのです。悔しい今年の
東京新聞杯でした。
