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ボルトが1本入っていて、これだけ走るのですから頭が下がります!!

No1480  大歓声の直線で力強く抜け出したのが2番人気のフィフスペトルでした。秋の中山、重賞第一弾「京成杯オータムハンデ」は、GIマイルCSを睨んだ一戦。新潟の関屋記念で休養明けながら快勝したレインボーペガサスが57・5Kのトップハンデ。それを受けてこの日は3番人気。
1番人気に推されたのが3連勝のあと関屋記念で大外から鋭く伸びて2着だったエアラフォン。この秋の赤丸の期待株。関屋記念と同様に福永騎手を迎えましたが、可哀想だったのは激しい流れ。前半34秒0-45秒1-56秒6と、スタートからよどみなく流れる展開。比較的、平均かゆったりしたペースに慣れてきているエアラフォンにとっては、この一転した激しい流れが、これまでに経験がなかったこと。それでも先行馬が次々に脱落して行く展開は、エアラフォンにとって願ってもない末脚を生かす絶好の形でしたが、逆に激しい流No2200 れに戸惑って、本来の強靭な末脚を生かせなかった印象。馬体重がマイナス12Kと目一杯の造り。それゆえこの5着はGI戦線に出走する上で、賞金を重ねたかったエアラフォンにとって、なんとも痛い一戦でした。
 さて、見事な優勝を飾ったのがフィフスペトル。昨年4月から骨折で1年に渡る休養。カムバック初戦の3月の阪神・六甲Sで、いきなり際どい5着。6月の東京、夏至Sでは一転した逃げの手に出て、オペラブラーボ以下を圧倒!時計内容も良く、次走の重賞が大いに楽しみにされていた馬です。
中団でしっかり折り合うと、勝負どころでは好位置に進出。外から伸びてきたアプリコットフィズが来ても動じず、これを振り切るようにゴールイン。着差以上の強さがあった内容でした。
 表彰式が終わって検量質の前に現われた加藤征調教師に「おめでとうございます。この前の夏至Sは1800mでしたが、今日は1600m。どのくらいの距離がこの馬にはベストだと考えられていますか」と私。
No3200 「そうですね、もともと自在性というか素直な馬なので、距離は1600mでも大丈夫だと思っていました。まだまだ可能性のある馬なので、中距離だったら大丈夫だと考えています。ただ、直線の長いコースは少しまだ課題があるようですね」と加藤征師。
「それでは今日のレースは考えていた点数をつけると・・」と私。
「うん、満足ですね。現時点で最高に近い形のレースは出来ていたと思います。とにかく大怪我で、脚にボルトが入っている馬ですから本当に頭が下がります」と加藤征師。
「まだ先のことは考えていませんが、出来たらやはりGIに出してあげたいと思います」と語り、おそらくマイルCSに向けて舵取りをして行くものと思われます。父がキングカメハメハ。注目の良血がようやく花開いてきた印象です。
今回、私が狙っていた馬はコスモセンサーでした。春のマイラーズCではアパパネと大接戦していた馬です。しかも、開幕週の中山のマイル戦で、願ってもない1番枠。これは松岡騎手がスタートで前に出て行って、外から来たら好位置に下げるだろう、と考えていたのです。
 ところが、3番枠の追い込み馬スズカコーズウェイの北村宏騎手が負けまいと、強行に前での位置を主張。内にいたコスモセンサーは一旦控える形を取ったら、今度はスズカコーズウェイが手綱を絞って下がってきます。そのアオリを受けてコスモセンサーも下げざるを得なくなり、位置取りが悪くなってしまいました。それでも、4角でインから伸びかけてきたのですが、今度は窮屈になり伸びを欠いてしまいました。内枠が逆にアダになった印象です。残念!

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絶賛ものの時計で決着したが、危惧されるその後遺症とは・・!?

0908_1_2  信じられない時計が電光掲示板に照らし出されていました。“1分33秒8”の勝ちタイム。注目の今年の新潟2歳Sは、9年前にワナがレコード勝ちした時計とタイ記録。
 目を疑ったのが、ラスト45秒―33秒1というもの凄い高速タイムでの破壊力比べ。レコードが出たワナのときはラスト3ハロンが34秒7。それを1秒6も上回る強烈な時計。わずかキャリア1戦の2歳馬には、まさに極限ともいえるタイム。
 もっとも、それだけスピードの絶対能力が優れていることだからこそ出来た内容ですが、それにしても、新馬を勝ったばかりの2歳夏に、こんな凄い時計で走っても大丈夫なのでしょうか。きちんと古馬のように脚元の骨が出来ていない2歳馬の夏では、あまりにも速い時計に、若き骨が対応できるのかどうか、私の長い競馬人生において、不安のほうが先に立ちます。
 今年の新潟2歳Sは、来年のクラシックの夢を乗せて多くの逸材が参戦してきました。なかでも、ほとんど追ったところなしで新潟のデビュー戦を圧倒したジャスタウェイが単勝1・7倍と圧倒的な人気に支持。
 ただ、デビュー戦を勝ったときに福永騎手が「かなりの能力を感じるので、これから大事に使っていければ、来年に向けて胸が膨らみます」とコメント。それゆえ、この新潟2歳Sはパスして、ダリア賞を勝ったエイシンキンチェムで福永騎手が臨んで来るだろう、という味方をしていました。
0908_2 ところが、その考えは逆で、なんとエイシンキンチェムは登録がなく、ジャスタウェイで乗り込んで来たのです。これはよほど具合が良く、相手関係からも勝てる!という自信が、ジャスタウェイを新潟2歳Sに向わせたのだと思います。
 とはいえ、キャリア1戦の2歳馬。何があるか、何が起きるかわからないもので、同じく新潟の新馬戦を圧勝したモンストール(4番人気)が、更なる飛躍を見せたのでした。中団の馬込みの中で折り合いに専念して、ポッカリと開いた直線の馬場中央から一気に先頭に立ち、ここから二段掛けダッシュで猛スパート。グングン加速するモンストール。中団で展開したジャスタウェイが直線で外に持ち出し、一気に詰め寄ってきましたが、僅かに届かず0908_3、無念の2着に敗退。
 3着以下が5馬身も離れてしまう抜きん出た1、2着馬のパフォーマンス。勝ち馬のラストが32秒7、2着馬は32秒6という次元の異なるような驚愕の末脚を駆使。ゆえに後続にとって、この5馬身差も仕方ありませんでした。
 もし、1、2着の馬がどちらか出走していなければ、余裕を残して1分34秒台くらいで制したはずです。たまたま出走していた為に、現在の100ある能力を、最大限を超える目一杯の120くらい出し切ってしまった上位2頭。はたしてその後遺症は出ないものか、とても危惧されるところです。
 このレースで、私はラフレーズカフェを推していました。素晴らしかった新馬戦の勝ちっぷり。また、それに加えて中間の動きの良さがひと際目だっており、これはジャスタウェイを相手に、好勝負が期待できると見て◎に推したのですが、スタートで出負けして、なおかつ寄られて後方。直線では馬場がボコボコしたインを衝いて伸びかけたのですが、ステッキが入ると寄れてしまい、ゴール前はほとんど馬なり状態。能力をまったく発揮できずに不完全燃焼。
 優勝馬のモンストールに新馬戦で田中勝騎手は騎乗していたことから、モンストールをチョイスすることも出来たはずですが、それ以上にラフレーズカフェに魅力を感じていたのでしょう。結果的にラフレーズカフェにとっても田中勝騎手にとって不運でした。
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