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単勝1.9倍の白馬のアイドルが摩訶不思議の失速!!

  白馬の人気アイドル・ソダシ「秋華賞」は圧倒的な1.9倍。札幌記念で強豪、古馬陣を相手に快勝。その勢いで桜花賞に続き牝馬2冠目を期待されましたが、直線に入ると急にバタバタと失速。まさにファンの悲鳴が聞こえてくるようでした。摩訶不思議の10着と期待を裏切る結果。

  今年の秋華賞はソダシで不動!と言う様相にありました。オークスよりも距離が400m短縮。直前の札幌記念(2000m)も難なく勝ち上がって、秋華賞は他の馬よりも断然に好ムードだったはずです。加えて単騎逃げが予想されていたエイシンヒテンの2、3番手で展開できそうな展開上の有利さ。

  実際、約束されていたように主導権を取ったエイシンヒテン。すかさずソダシが2番手に上がり、まさに予想通り正攻法の展開となりました。3番手にアールドヴィーヴル、内からスルーセブンシーズ。そして3番人気のアンドヴァラナウトは前のソダシをマーク。これらの直後でスパートのタイミングを窺うアカイトリノムスメ(4番人気)。2番人気のファインルージュは中団の後方に位置。末脚に賭けます。

  前半の5ハロンが61秒2、京都大賞典と同じようなペース。予想されたようにスローで展開。2番手の大名マークのソダシには願ってもない展開になったはずでした。

直線入り口で吉田隼騎手の手が動いて、逃げるエイシンヒテンに並びかけようとしたのですが、何故か馬体を並びかけられないでモタモタしている間に、外からアンドヴァラナウトが馬体を併せに来ます。その外からはアカイトリノムスメが接近。

  がんばれ!ソダシ。それ行けソダシ。鞍上の吉田隼騎手のステッキ入りましたが、その願いは空しく馬群の中に呑み込まれて行きます。

  内から一人旅に持ち込んだエイシンヒテンの粘り腰。その外にアンドヴァラナウト。そしてアカイトリノムスメがグングン接近します。ラスト100mでは内のアンドヴァラナウトを捉えたアカイトリノムスメ。そのとき一番外から一気に追い込んで来たのがルメール騎手のファインルージュ。ゴール寸前でアカイトリノムスメに半馬身差まで詰め寄ったところがゴールでした。

1着アカイトリノムスメ、2着ファインルージュ、3着アンドヴァラナウト。1番人気のソダシは10着に敗れたものの上位人気馬で決着。

  国枝調教師はこれでGI通算20勝目。戸崎騎手も記念すべき初めての秋華賞優勝。今年初めてのGI制覇となりました。

また、アカイトリノムスメのオーナーが金子真人さん。同時にソダシのオーナーでもあります。

オーナーとして嬉しいGI優勝だと思われますが、失速したソダシへの思い。きっと複雑な心境かも知れません。

度肝を抜いた8歳が5年ぶりの勝利のドラマ!!

よもやまさか、そのまさかのドラマが現実に起きました。もう現役の幕引きをささやかれる中で、その不振の8歳馬は大方の予想を裏切る大ドンデン返しをやってのけたのです。

  マカヒキ。牡馬8歳。5年前のダービー馬です。菊花賞をキャンセルして日本馬初の凱旋門賞を目指して渡仏。鞍上はルメール騎手。フランス初戦のニエル賞でクビ差勝ち。そして凱旋門賞では堂々1番人気に支持を集めたほどです。ところが無念の14着と大敗。ここからマカヒキの暗くて長い闘いが始まりました。札幌記念で2着、ジャパンC4着という好走はあるものの勝てないのです。こんな辛い日々が延々続いていた8歳の秋。

GIの勲章を持つ芝2400mの「京都大賞典」に登場。春の天皇賞以来の実戦。14頭立ての9番人気。私は顔ぶれから連下には十分狙えると見て△印。

騎乗した藤岡康騎手は「開幕週なのである程度の位置を取りに行こうと考えていました」とコメント。

  圧倒的な人気に推されたのがコントレイルと菊花賞で大接戦したアリストテレス。鞍上はデムーロ騎手。そしてヒートオンビート、キセキと続きました。

中団をキープしたマカヒキ。3、4コーナーの勝負どころで藤岡康騎手の手が激しく動きます。前を行くキセキ、アリストテレスに遅れてはなるまいとの思いからなのでしょう。4コーナーで激しく前が入れ替わります。キセキが直線中程で先頭に立つと、それを待っていたかのようにアリストテレスが馬体を併せて行きます。

  そしてゴール前でした。アリストテレスが先頭に立ったところを、猛然と外からマカヒキが強襲。何かを忘れていたマカヒキが、思い出したような勝負強さを発揮。アリストテレスをハナ差差し切りました。

ラストが13秒0を要したように展開に恵まれたところがありますが、マカヒキにとっては嬉しい5年ぶりの優勝。マカヒキのファンにとっては、嬉しい感動的な優勝でした。また8歳という年齢にもかかわらず、ここまで支えたスタッフ、そして金子オーナーにも拍手を送りたい気持ちです。