目下無敵の7連勝で昨年の
安田記念、
マイルCSを制したモーリスの圧巻の強さを見たい、完全復活したサトノアラジンの強烈な末脚を見たい、昨年のクラシックの大将格、ドバイターフを快勝し勢いに乗るリアルスティールの強さが見たい、
安田記念はそんな横綱級の馬が揃って、ファンの熱い思いは私にも伝わって来ました。
ほぼフルゲートの例年に比べて、今年は12頭とモーリスに恐れをなしたのか、自重する馬が目立ちました。
私は昨秋の
マイルCSでモーリス相手に、出遅れながら最速の33秒0の末脚を見せたイスラボニータに食指が動いて◎。
しかし、この頭数で強力な逃げ馬が見当たらず、おそらく1番枠という最高の枠を引いた
クラレントが、押し出される形で主導権だろう。香港のコンテントメント、
ディサイファ、
レッドアリオン、
ロゴタイプあたりも先行力を生かしにきそうだ。ハイペースにはならなくとも平均ペースくらいで展開しそうだ、と考えていました。

ところが、分からないものです。
ロゴタイプがサッと先頭に立つと、後続はポジションなんか考えず直ぐに手綱を引きに出ます。ハナを切ると予想していた
クラレントも中団の内で折り合いに専念。そうこうしているときに、注目のモーリスはTベリー
騎手が手綱を懸命に引っ張って、というより持って行かれる感じで2番手に浮上。それを外で見ながらリアルスティールの
福永騎手も懸命に手綱を引きながら3番手。内には
ディサイファ、外にコンテント
ラメント。珍しく互角にスタートを切ったイスラボニータもかかり気味。その後ろのインに
クラレント、並んでサトノアラジン。
フィエロが直後に控えて、最後方には内から
ダノンシャーク、出遅れたロサ
ギガンティア、そして何故か消極的な
レッドアリオン。

前半の3ハロンが35秒0。例年、33秒台で展開する
安田記念。一昨年、酷い不良馬場を制した
ジャスタウェイの時が35秒1。高速馬場の今年は驚くスロー。さらに先頭の
ロゴタイプが気分よく逃げているのに、まるで金縛りにあったかのように、モーリスを筆頭にして各馬懸命の抑え込み作戦。
半マイルが47秒0、5ハロン通過は59秒0。前日の500万、国分寺特別が半マイル47秒3-59秒0とまったく同じ。
このペースで先行できなかった、とレース後コメントしている
ジョッキーの真意は意味不明です。
500万でも遅いくらいの超スローの
安田記念。ラスト3ハロンに全力を投入するだけの
ロゴタイプ。11秒3-10秒9-11秒7で、そのまま圧倒しました。
2番手の1.7倍のモーリスが4角でもまだ動かず、なんとか懸命に粘って2着を確保。ゴール前は
ディサイファ、サトノアラジン、イスラボニータの激しい叩き合いでしたが、外からグイグイ伸びて来たマイル巧者の
フィエロが3着。
2着のモーリスから6着
ディサイファまで、わずか0秒1差の大激戦。モーリスに騎乗したTベリー
騎手が、ゴール寸前で2着を確保したと考えたのか、ふっと手綱を追う手がルーズになったような印象ともとれるプレー。ハナ差で迫っていた
フィエロに差し込まれそうなゴール前でした。
それにしても、
皐月賞以来、実に3年余ぶりの6歳馬ゴタイプの優勝。終始、
田辺騎手は満面笑み。

この記録的なスローペース、互角に出ながら行けなかったと、
クラレントの小牧
騎手。先行できたのに前の馬が残る展開でしたね、と解説者もどきの
レッドアリオンの川須騎手。自分が行かないとスローになる、追い比べで勝てる!という作戦だったのでしょうか。チャレンジャーとしての怠慢プレーと、とられても仕方ないです。
