コンピューターが刻んでいるような見事な逃走のドラマ!!
単騎逃げでそのまま押し切るかエイシンヒカリ!それとも強靭な末脚で豪快に差し切るかサトノアラジン!
東京、春競馬最終日の「エプソムカップ」は、前記のエイシンヒカリとサトノアラジンが人気を分ける一戦となりました。
エイシンヒカリは7戦6勝、休養明けの都大路Sもグランデッツア以下を圧倒。方やサトノアラジンは菊花賞で直線大きな不利がありながら6着に頑張り、目下2連勝と軌道に乗っている大器。
それゆえサトノアラジンのルメール騎手は、エイシンヒカリの武豊騎手だけを目標に騎乗して来ることは間違いのないところでした。そのことが買われたのか当日はサトノアラジンが2.1倍の1番人気に浮上。
抜群のスタートを決めてゲシュタルトが先頭に立ちました。その外からエイシンヒカリがじんわりと予想通り主導権をとります。ゲシュタルト、フェスティヴタローと続き、サトノアラジンが早くも内から4番手を確保。その後ろにはヒラボクディープ。アーデントが外から馬体を併せに行きます。中団にはマイネルホウオウ。その直後にユールシンギングがいて、内からペルーサ、外にディサイファ。最後方に内からフルーキーとフルアクセル。
前半の3ハロンが35秒6で半マイルが47秒5。そして1000m通過が59秒2。開催が進んだ馬場コンディションと言ってもいくらか遅く感じられる流れ。
ポンポンと快調に逃げるエイシンヒカリ。3コーナーでサトノアラジンもじんわりとエイシンヒカリとの差を詰めて行きます。内にはヒラボクディープ。ユールシンギングが中団。後方にはディサイファで真後ろにフルーキーで外のサトノギャラントと並んで追走。
エイシンヒカリがきれいな11秒台のラップを揃えて4コーナーをまわり、先頭で直線に入って来ました。11秒台のラップを続けることで、後続の脚を止めておくことが出来る、そんな判断も伝わって来るようでした。
昨秋のアイルランドTで、主導権を取り、直線では外へ外へと外ラチまで逸走。再び東京でそんな癖が出ないのか不安もありましたが、抜群の手応えで直線の坂を上がって来ました。そのときです。最内に進路を通ったサトノアラジンが猛然と並びかけて来ました。
11秒2-11秒2とギアチェンジ。1600m通過が1分33秒2。内からサトノアラジンが一瞬抜け出したか、のようにも見えましたが、エイシンヒカリが二枚腰を繰り出して応戦。結局、クビ差振り切ってエイシンヒカリに軍配。
外から直線追い込んで来たディサイファがクビ差で3着。さらにフルーキーがラスト34秒0で追い上げましたが、上位2頭を脅かす脚には見えませんでした。
東京の良馬場で注目していた休養明けのペルーサが6着。外から伸びて来ましたが以前のゴール前の迫力は感じられませんでした。
騎乗した内田博騎手は「いい頃の沈むような走りがなかった。これは休養明けだったのか、あるいは年齢的なものか、判断できないけど、これを使って良くなってくれるといいね」と、次走に期待をつないでいました。
いずれにしても、8戦7勝のエイシンヒカリ。都大路Sでは前半の4ハロンを46秒9で飛ばし、後半の4ハロンも46秒9。まるでコンピューターでも入っているかのようなタイプ。かつて、トーヨーアサヒという逃げ馬がいました。コンピューターが入っているようだとも言われた馬です。
先日、岡部元ジョッキーにエイシンヒカリについて尋ねたときに、関屋記念を2連覇したマグナーテン(岡部騎乗)のようなタイプに似ているかも、と答えてくれました。中距離路線の頂点、秋の天皇賞が楽しみです。
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どこまでもどこまでも続くモーリスの快進撃!!
春のGIシリーズの総決算、マイルのチャンピオン決定戦「安田記念」。昨年の不良馬場と違い今年は初夏の太陽がサンサン。
1番人気に推されたのが長期休養明けを3連勝のモーリス。前走のダービー卿CTではゴール前次元の違う末脚で、あっという間に突き抜けた内容がケタ違い。この神業的なパフォーマンスにファンの支持が集まりました。
3歳時490K台だった馬体は510K台までに成長。ひと皮もふた皮もむけたモーリスがそこにいました。ついにGI戦線に乗り出して、そして1番人気に推されるほどのスーパー出世。
今回はスピカS、ダービー卿CTで騎乗した戸崎騎手が、フィエロに騎乗のために3歳時にコンビを組んだ川田騎手にバトン。その強さを実際に体感し、絶賛していた戸崎騎手にとっては、おそらくモーリスに勝たれるかも知れないとの思いがあったはずです。それでも先約のフィエロを気遣い、ファイティングポーズを崩しませんでした。
初GI挑戦となったモーリス。過去、京王杯2歳Sで1番人気に推され6着と、苦い経験がある東京が舞台。1年半ぶりの左回り東京をどう克服するのか、もし引っかかったりすると撃沈の可能性も・・と考えていたのですが、それが一転したレースを見せたのです。
スタートでまたもや出遅れたサトノギャラント、ダイワマッジョーレ。ダノンシャークも躓く感じで後手にまわりました。
主導権を取ったのが、出ムチを入れて内田博騎手のリアルインパクト。外からじんわりとケイアイエレガント。これを見て浜中騎手のミッキーアイルが手綱を絞ります。
レッドアリオンがそのあとで、なんとモーリスが意外にも正攻法で4番手グループ。ここ3戦とは一転したレース。これにフィエロと外にクラレントがピタリとマーク。中団の内々にダノンシャークが上昇。その直後にヴァンセンヌが末脚を温存。先行カレンブラックヒルが後手にまわってこの位置。ダイワマッジョーレは後方で、ポツンと取り残された形のサトノギャラント。
前半3ハロンが34秒3で、半マイルが45秒9。一昨年のロードカナロアが優勝したときが前半33秒9。それを考慮すると平均ペース的な流れ。ところが、前半の4ハロンが過ぎてからも11秒6-11秒4-11秒2-11秒3と、緩みない流れで進みます。
直線で逃げるリアルインパクトにケイアイエレガントが並びかけと、抜群の手応えでモーリスが、今にも先頭に立ちそうな勢い。すぐ後ろにはクラレントがいて、レッドアリオン、フィエロも接近。ミッキーアイルは手応えが薄い印象でついて行けません。後方から外をヴァンセンヌがグングンと迫って来ました。
ラスト200mを残して一気に先頭に立ったモーリス。さすがにラストは12秒3とダウン。それ幸いと外から際立った脚で福永ヴァンセンヌが鋭く伸びて来ました。
逃げるモーリス。外から追うヴァンセンヌ。少し遅れたクラレント。フィエロは伸び脚を欠いています。直線一番外に出したヴァンセンヌが1頭際立った脚色でグングン接近。モーリスに並びかけて来ました。
それでも、モーリスは並ばれてからが真骨頂。頭を低くしてグイと伸びてクビ差ヴァンセンヌを退けて遂に待望のGI優勝。場内はやんやの大歓声。
1分32秒0、ラスト34秒5、タイムは一昨年よりも劣るものの見事に高速決着に断を下しました。モーリス本格化の証しがここに実現したのです。
軽く会釈はしつつも、派手なガッツポーズ、パフォーマンスを控えたクールガイ川田騎手。よほど自信があったのだと思われます。
この時期のマイル戦に強いクラレントが前走とは一変。堂々3着を確保。フィエロに先着しました。
2番手をキープして粘りに粘ったケイアイエレガントが5着。ダノンシャークが10着と失速。ミッキーアイルは15着。本来、先行力が最大の武器でもあり、ミッキーアイルの浜中騎手も「スタートが早いから結果的に行かせた方が良かったような気もします」と、残念な結果にガッカリ。
私はラスト32秒台の破壊力を重視してサトノギャラントを支持しましたが、スタートでポツンと出遅れ。それも前を行く馬からも遅れて最後方。
柴山騎手は前日のレース中にゲートの中で負傷。途中で騎乗変更。幸い軽症で翌日騎乗して元気なところをアピールしていましたが、パドックで騎乗できないように、万全ではなかったのです。プロなのですから万一でも騎乗に影響するようなことがあれば、関係者、そして支持しているファンに失礼。せっかくのGIという気持ちはわかるのですが、万全の体調でなければ騎乗辞退すべきだったのではないでしょうか。それもGIなのです。
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