
「もしも敗れるとしたら敵は好枠を引いてスローの流れに乗る戸崎・
ジェンティルドンナか、
菊花賞をパスしてここに全力投球するルメール・イスラボニータしかいない」
◎に推した
スピルバーグの本命は、どう考えても動かしがたい。ここ8年連続して
毎日王冠からの馬が必ず
天皇賞で連対しているし、その連対した馬の
毎日王冠での時計を比較してもヒケをとらない。しかも、
毎日王冠で直線追い出しを待たされる不利があった
スピルバーグの内容は実に優秀。全5勝はすべて東京芝。東京2000mはパーフェクト。何よりかにより内枠が断然有利の東京芝2000m。4番枠とはもう買ってください!と言わんばかりではないか!と私は興奮を抑えきれない思いでいたのです。
前日の東京競馬場。私はフジビュースタンドでフジテレビ系列の支社長観戦会に招かれて、60名近くの方を前に講演。一人私、熱弁をふるっていました。
そして、15時から始まっている調布中学校の18期同期会に、1時間半以上も遅れて駆け付けたのでした。懐かしいあの顔、この顔。嬉しい再会。そして、ここでも
天皇賞の予想を同期の友人相手に熱弁。
11月2日、東京競馬場は心配された雨はなく、雲の谷間から太陽が顔を出す、まさに秋競馬日和。
この日、注目の1番人気に推されたのがイスラボニータ。
セントライト記念を順当に勝ち上がった順調さと、そして5戦4勝2着1回という東京コースの部類の手堅さ。
2番人気がこれも東京コース4戦3勝2着1回、
ジャパンC2連覇中の女傑
ジェンティルドンナ。そして
春の天皇賞2連中の
フェノーメノ。昨年の
菊花賞独走の
エピファネイアは4番人気。イスラボニータを省く3頭はいずれも休養明け。このあと2400mの
ジャパンCが控えていることを踏まえると、間違いなく
フェノーメノと
エピファネイアの2000mは距離不足と推察。従って、2400mの
ジャパンC目標の叩き台という見方は間違っていなかったと思います。

そして、1コーナー奥のポケットからスタートを切りました。抜群のダッシュを見せた
ジェンティルドンナ。が、外から気合を入れて予想通り
カレンブラックヒルが主導権。その外から
マイネルラクリマが続きます。仕掛けて3番手に上昇してきたのがイスラボニータ。内から
ジェンティルドンナがピタリとつきます。
サトノノブレスと
マーティンボロがいつもより早め。その直後に
ラブイズブーシェ。
エピファネイアが中団のイン。その真後ろに外目を
フェノーメノ。
ディサイファがこれに続いて、直後を
ヒットザターゲットと、出負けした我らが
スピルバーグ。
3コーナーの1000m通過地点が60秒7。このまま1400m通過が1分25秒1というスローペースで展開。


単騎逃げを打った
カレンブラックヒルにとっては願ってもない展開。最内から
ジェンティルドンナ。その外にはピッタリとイスラボニータ。ラストスパートのタイミングを計っています。
ラブイズブーシェが好位グループに迫ってきました。
フェノーメノが中団の外から進出。それを追うように
スピルバーグが大外に出します。同じ位置にいた
ヒットザターゲットがインを狙います。


残り600mで懸命に逃げ込みをはかる
カレンブラックヒル。これに馬体を併せてきたイスラボニータが捉えにかかり、最内をこじ開けるように
ジェンティルドンナが浮上。
イスラボニータが先頭に立つ、内から
ジェンティルドンナだ、
ラブイズブーシェも迫って来る。
そのときでした、大外に出した
スピルバーグがケタ違いの伸び脚を発揮。イスラボニータ、
ジェンティルドンナに迫ります。その勢いは他馬を完全に圧倒。内でイスラボニータに競り勝った
ジェンティルドンナを、離れた外から並ぶところなく
スピルバーグが差し切って見事な完封劇。



この遅い流れの中にあって、際立ったラスト33秒7の破壊力。これが
重賞、初勝利馬か、とも思える迫力でGI初制覇。本格化の5歳秋です。
スタートで出負けして後手に回りながら、後方で末脚を温存。外をまわって直線一気。ただただ、
スピルバーグが強かった
天皇賞でした。
ジャパンCは叩き台で走った2400m歓迎組が、どう巻き返してくるのか注目されます。ハープスターも参戦の意向とか。楽しみです。
帰りに和食店で食した松茸ご飯と、すき焼きの美味かったこと。忘れられない
天皇賞・秋でした。
